僕と安達哲について(mixiより転載)

さて、皆が気になる「安達哲」君について書いてみよう。

彼の作品で、今まで読んだことがあるのは『さくらの唄』と『バカ姉弟』である。そして、今からは『さくらの唄』に焦点を絞っていこう。

さくらの唄』について、僕の正直な所を言ってしまおうと思う。僕はこの作品を愛していない。

端的に言ってそんなに共感できない。
ストーリーや主人公にということではなく、「安達哲」に共感できないのだ。
再度あの作品を手にとって詳細に考察するのが面倒くさいから、感覚だけで語ることになるが、鬱屈した「僕ら」であるはずの主人公がいつの間にか完全に「僕ら」と乖離した主人公になってしまっていて、当時読み進めていくそばから記憶を消し去りたくなってしまった辛い作品なのだ。。
そんなくせに、主人公はモラトリアムを難なく脱出し、憧れの先生に「最初から自分信じてやってればよかったのよ」なんて言われ、「僕ら」モラトリアム達があの最後のコマを見て希望を持ってしまうなんていう構図全てひっくるめて凄まじい挫折感というか絶望感を抱いたのだった。

何ていうか、僕はあの作品に救われなかったから、「安達哲」を好きになれないのかもしれない。伝説的青春漫画などと言われながらも、あの作品の本質を見てみれば「安達哲」は途中で完全にそれを放棄しているわけで、それでもあの作品の賞賛の声がやまないということが不可解でならなかったのだ。

まぁ、こんなまとまってない自分語りはどうでもいいとして。
今まで、「安達哲」に対してそのような感情を抱いていたのは事実である。
しかし、つい最近『キラキラ!』を読んだ。









普通に面白かった。
全6巻中の最後2巻は基本的に蛇足と言っていいレベルだが、僕の女の子に対する考え方に前進性を持たせてくれたことは非常に評価できる。
それについては、安達哲が一巻の1ページ目から明示してくれている。大好きな箇所なので恥を忍んで引用させて欲しい。
僕が今まで生きてきて思っていたことを、すでに安達哲にこんなにもはっきりと言われてしまっていたことに、爽快な笑みさえ出てくるのだから。



主人公「学校がなんだ。親がなんだ。勉強がなんだ。オレは理想の女のコにあいたい。身も心も奪われるような天使にあいたいんだよ」

闇の声「だが、その女のコにあった時の苦しみに、君は耐えられるだろうか?」

主人公「苦しみ?」

闇の声「天使を天使にしておくためには、ただ遠くで見つめているしかないんだ」

主人公「手に入れようとしちゃいけないの?」

闇の声「手に入れたとたん、天使は人間となる。欠点を持ち、君の理想とくい違う実体を持った、ただの人間となるのだ。」



※これへの主人公の回答が最終巻で綴られる。安達哲の傑作である。