VISUALBUM


この作品は、僕がレビューを書き記そうと思ったきっかけの1つでもある作品である。
具体的にどういう作品かというと、ダウンタウン松本人志をはじめとした、Wコージ・130R木村祐一*1などのいわゆる1990年代ブームになったバラエティ番組「ごっつええ感じ」のメンバーと「ガキの使いやあらへんで」にレギュラーとして出演している当時、若手だったココリコの身内だけによる少数精鋭のチームによるコントが収録されていて、
「ただ、笑うだけでお終いじゃない。笑うということではない「お笑い」もあるんじゃないのか。そして、その笑うということではない「お笑い」はただ、笑う「お笑い」よりレベルが高いのではないのか。」
という新しい試みをした作品でもある。
僕が採点をするときは、「何か心にくるものがあり、何度も観たくなる作品」というのを基準にしているのだが、ここまでこの基準にビタッと当てはまる作品はないと思う。
この新しい試みにより、軽い表層的な笑いではなく、観る者たちの中に眠っている一種のトラウマのようなものにシンクロする、笑うだけではすまされない哀愁のある深い笑いのようなものが表現されており、しかもその笑いのパターンが多く、必ず誰でもどれかのコントにはシンクロするだろうと思う。
しかも、自分の成長・心情の変化により、毎回好きなコントが変わっていく非常に不思議な作品で、年に何回か、ふとこの『VISUALBUM』を観たくなるのだ。
これからも自分の人生と共に歩んで行き、笑わせ続けてくれるであろう。「笑い」の頂点を極めた松本人志が挑戦した「笑い」を越えた「笑い」。 ぜひ、体感して欲しい。
A+

*1:ごっつええ感じ」当時は、構成作家として参加している。