ハートを打ちのめせ!


う〜ん。ジョージ朝倉の作品は、全然嫌いじゃない。むしろ、好きなはずなんだけど、どうもこれは面白くなかった。
どうして、設定が中学生なのだろうか?あんな駆け引きをする中学生は異様で読んでいて、全く入っていけなかった。思春期というのは、ああいう妙に覚めた所ももちろん持ち合わせているのだが、『シガテラ』のような純粋な恋愛の方がやっぱり中学生らしい。
もう1つ、入っていけなかった理由を挙げると、好きになった理由が不明確なのである。
人を好きになるのに、理由なんてない と、言うが、瑠璃編の瑠璃がいきなり先生の指輪を盗って、返してくれと差し出す手を眺めて「先生の手好きです」「前にお子さんと歩いてるの見かけたんですよ 手を繋いでて」「それ見てはっきり知っちゃったんです。…ああ 私が欲しかったのはそれなんだと」「私を愛し 考え守って 受け止めてくれる 大きな手」と言って愛人にしてくれと頼むのだ。
正直、こんな中学生いるか? と、思ってしまう。マンガの中で、こういう種類の物語を書くときはありそうでなさそうのギリギリのラインにどう持ってくるかというのが勝負所なのだが、この作品はその勝負所を見事に落としている。
全体を通じてもそうなんだけど、思春期特有のどっかんパワーを表現したいのは分かるけのだが、構成やセリフが上手くないと、読者が置いてきぼりになってしまう。
唯一、マキ編だけは良かったけど、やっぱり恋愛作品としては、構成力の上手さからし南Q太の『スクナヒコナ』に軍配が上がる。