バラが咲いた


バラが咲いた
バラが咲いた
posted with amazlet on 06.02.13

これは読んだ当初、身震いした記憶がある。「デビュー作がこのレベルか!?」と。
『ハートを打ちのめせ!』では、ありそうでなさそうのラインに持ってくる難しさの話をしたんだけど、今回のは、しょっぱなから「僕には生まれつき右脳に得体の知れない塊があり…」という所から始まるので分かる通り、はーい、これはリアルじゃありませ〜ん、というスタンスのマンガなのだ。この人は、リアルな感情描写より、そういうリアルじゃない人物描写を書かせた方が力を発揮するなーと私的には思っている。
内容を一つ一つとっていくと、
この短編集の中で一番好きなのは「パンキー・ケーキ・ジャンキ−」かな。デビュー作にしてはとか関係なく、話もまとまっていて、言葉のかけ合いなんかのセリフも面白かった。
身震いした作品は「星の名前」。あれだけ、良い失踪生活を積み上げておいて、最後の3ページでコロッと変わっちゃう、あの簡潔さが上手い。セリフも少なめで。
「バラが咲いた」も、世にも奇妙な物語みたいな終わり方で面白かったし、夢のシーンの、想像力が欠如しているせいで自分の考えていることをたんたんとしゃべっているだけっていう所はかなり好きです。
短い分、ウソっぽい分、つい何度も見てしまうジョージ朝倉の好きな作品。
A−