ブラザーフッド ブラックホーク・ダウン


ブラックホーク・ダウン [DVD]

ブラックホーク・ダウン [DVD]

まず、ブラザーフッドだが、横森文さんが僕の言いたいことをより分かりやすく書いておられるので一部抜粋させてもらう。
朝鮮戦争に強制徴用されたジンテとジンソクの兄弟は、最前線へと送り込まれることになる。
この世で最も大切な弟を除隊させたいと願う兄ジンテは、自分が戦場で成果をあげて勲章さえもらえば、弟を自由にできると知って必死の思いで危険な任務を遂行し続ける。だがその思いゆえどんどん非情になっていく兄ジンテを理解できないジンソク。やがて2人の間に大きな溝ができてしまう…。
兄弟のとてつもなく熱い愛情をベースにした作品だが、その愛情とは対称的な残酷な戦場描写が胸に重くのしかかる。兵士の家族が死体に取りすがって泣く様、腹にウジ虫がわいていても何もできない負傷兵の様子。韓国内で同胞同士が殺し合う様。これらの胸が痛むシーンと兄の愛のギャップが、余計に戦争の愚かさを拡大させる。


続いて、ブラックホーク・ダウンだが、この映画は米軍によるソマリアへの介入戦争の失敗を描いた戦争映画なのだが、こちらはブラザーフッドとは対照的で主人公のアメリカ軍を徹底的に正義として描いている。
結果として、アメリカ軍は任務失敗となっているが一人でも負傷者が出るとそこに大勢集まり、助け合い、戦場の中でも友情を捨てず、最後の言葉も「俺達は隣に友がいるから戦うんだ。」と言っている。
敵のソマリア人達は、台詞を喋っていたのは全て合わせても5分程度でほとんどアメリカ軍の標的といった捉えられかたをしていた。(数字にも負傷者がソマリア人1000人以上でアメリカ軍19人となっていた)
これでも、アメリカ軍はひどく痛手を受けたと言う描かれ方をされており、非常に矛盾を感じた。
僕は戦争非体験者だが、残っている映像なんかを見ると戦争は一人の負傷者に大勢が駆け寄って治療する程余裕はないし、アメリカ軍が19人死亡ですんでソマリア人を1000人以上も殺せたなんて事は奇跡的出来事だし、そもそもアメリカ軍2,300人でソマリア人が2000人以上もいるような所に侵入するなんて作戦はありえないと思う。(アメリカはこの国の文化や価値観を知らなすぎた)
最後に一人のアメリカ兵が「アメリカは何故他の国の争いにもわざわざ戦争をしに行くのか。それは分からない、だが、俺達は隣に友がいるから戦うんだ。」と言った言葉は残念ながら僕にはこの問題をうやむやにしているだけとしか思えない。


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