井戸端映画論2


先日、『刑務所の中』を観て、かなり面白かったので母に勧めてみた。
僕は母が観終わった後に、意気揚々と「どうだった?」と聞くとふてくされた表情で「ストーリー性がなくて、別に面白くなかった」と返してきた。
「いや、いや、いやぁ」と反論したかったが、その気持ちをレビューという形にして表したかったので、わざわざここに書くことにした。
まず、ストーリー性がなくて面白くないということ自体がそもそも間違っている。これは前回の「井戸端映画論」でも書いたのだが、それはたとえストーリーが面白くなくても他の部分が面白ければそれは映画として面白いということなるということなのだ。
しかもこの映画が表面的に一番表したいテーマとして受刑者達の繰り返される平凡な日々というのがあるので、ここでいう「ストーリー性という制約されたもの(起承転結などの起伏がある物語)」は逆にないのが当たり前だし、その刑務所という異界な場所でだいのおとな達が一喜一憂する平凡な物語が、こちら側から見るとなんとも不自然で面白いというのが、もうすでに「本来の意味であるストーリー性(観る者に何かを感じさせる物語)」というものなのだ。
だから、そのおとな達が微妙な振れで一喜一憂する繊細なストーリーを観る者が感じ取れれば、ストーリー性がないなんて全く感じないし、むしろ何度も観たくなる程、質の高いストーリーなのだ。
だから、一度、制約された固定概念を取り外して「本来の意味であるストーリー性」を掴んでみよう。(と、いつもより難しい言葉を並べて語ってしまったことを文章力のなさを悔やみつつ、お詫びします…。)