火垂るの墓


火垂るの墓
火垂るの墓
posted with amazlet on 06.02.13
ワーナー・ホーム・ビデオ (2005/07/29)

恥ずかしながら毎年毎年やってるこの映画を今年、はじめて観た。ちょうどこの時期は夏休みだからテンションが上がっていて映画どころではなかったのかも知れないな。まぁー、そんなことより『火垂るの墓』を。
これは当然、反戦を呼びかけた映画なのだが、そういうテーマ性よりも単純に映画として上手いなーと思ってしまう。
ドロップの使い方や話のピークの場所(節子が死んだ所はナレーションだけでスッと終わらせておいて火葬する場面でたたみ掛ける、あの潔さ。)悪者をつくらないところ(親戚のおばさんや農家のおじさんは一見悪い人だが言い分は正当でどちらもが正しいことを言っていてでは悪いのは誰だ? ……「戦争」だ。 という持っていき方)などの演出面でもそうだが、節子役の白石綾乃は当時5歳だという。いや〜、スゴいね、子どもっぽい声だと思ったら本当に子どもなのね。でも5歳でこれだけしっかり仕事したのには本当に脱帽である。
こういう作品を観ると、アメリカに分かるのか?という疑問もあるし、分かってたまるかという思いもある。時々、見当違いの人がアメリカの戦争映画も悲惨だと言う。でも、この作品とアメリカの戦争映画は決定的に違うのだ。
アメリカの戦争映画は、どこか敵地に出向いて、そこでの恐怖や友情物語を描いたものだが、日本は何も分からずに自国を攻められているのだ。アメリカの僕らも何も分からずに戦地に連れてこられたんです、という言い分もあるかも知れないが、やはり、自国を廃墟にさせられた「無力感」というものは分からないんだろうなーと思う。
この作品はそう何度も観るものじゃないので、本来の僕の採点基準「何か心にくるものがあり、何度も観たくなる作品」というのには当てはまらないのだが、色んな人に「観せたくなる」作品だと思うので、今回は高評価にした。
A−