犬、走る DOG RACE


犬、走る


一言でいうならば、アウトサイダーな奴らが走り回る映画。
お金がない分、役者・監督が作り出す空気感で補おうとする作品はやっぱり好きで、どうしてもひいきしてしまうところがある。そんな趣向だからどうしても邦画専門になってしまうのかな…。
この映画もそういう匂いのする作品で役者のキャラが非常に面白い。『刑務所の中』『血と骨』でもそう感じたが、この崔洋一監督は僕の趣味に合った「イイ」配役を持ってくるのだ。
香川照之(犬、走る・刑務所の中クイール)や松重豊刑務所の中血と骨)なんかはもう定番で今回も、社会見学という名のもとヤクを打たされてアッパーになる新人刑事(香川照之)は見事だった。
他のキャラもヤクザに情報を流し、金をせしめながらも犯罪を追う不良刑事・中山(岸谷五朗)。彼と恋人関係にありながらも隠れて犯罪に手を染める中国人女性・桃花(冨樫真)。そして中山と行動を共にしつつも、彼に内緒で桃花に手を貸している情報屋の秀吉(大杉漣)。と、濃密で監督の技量が多いに感じられると思う。
ストーリの方もしかっりしていて、「大杉が密入国の斡旋をしているのは岸谷は知らないで観る側が知っている。」「大杉が岸谷と組んでヤクザの組長・遠藤をハメようとしている追いかけっこは観る側は知らないで岸谷は知っている。」という話の見せ方が上手かった。
エネルギッシュな作品で、役者・監督が共に全力で走った作品ではないだろうか。
(余談だが、車のフロントガラスに映りこむ深夜のネオンがイノセンスを思い出す。実写でもこんなに綺麗にうつるんだなーと少し驚いてしまった。)
B+