スーパー一人ごっつ


以前、松本人志論を書いたとおり、松本はどんどん本質的な発想や考えを演出していく方向にむかっている。
では、何故そのような方向にむかったのかと言うのは、笑いの頂点を極める上ではごくごく自然のことだったのだろうが、その方向にむかう転機と言うのは、誰にでも与えられるわけではない。
しかし、松本はその転機を手にするのである。そう、その転機になった作品こそが今回紹介する『スーパー一人ごっつ』(「ごっつええ感じ」終了後、3年にわたって放送された松本が一人で演出した「一人ごっつ」シリーズをまとめたもの)なのだ。
転機となった作品という意味で、今までに培われてきた「瞬発力による笑い」と当時芽が出はじめていた「発想による笑い」とがどちらもバランスよく取り入れられていて、数多くの神がかったシリーズが作られている。その中から特に当時の松本しか絶対にできないようなものを数点紹介してみたいと思う。


マネキンとコント 其の一「義父」
等身大のリアルな人形と繰り広げる一人コント。一人で喋っているだけなのにも関わらず、観ていて少し恐ろしいぐらいリアルな家庭劇を演出している。そこから漂う何とも言えない笑いを味わって欲しい。


紙猫芝居シリーズ
たった数枚の紙芝居を使って松本がそれを読んでいくだけという非常にシンプルな作品。しかし、その同じ話を何度も何度もしていく中で、アドリブで徐々にセリフを変わっていくのが面白い。松本の言語感覚の凄まじさに改めて驚くであろう。


作詞しよう
その名の通り、構成作家によりつくられた1分程度の歌に即興で歌詞を付けていくというもの。考えている間もリアルタイムで観られるために、自分が予想したものと違う作詞をしてくれることに楽しくなってしまうのは必至。

その他にも写真で一言・出世させよう・お笑い共通一次試験などたくさんの名作が収録されているこのDVD。ぜひ、観て欲しい。